越路吹雪に“生涯無報酬”で尽くした女性が守った「大切なもの」
(草野さん)
岩谷さんの著書『夢の中に君がいる』には、こうつづられている。
《私は彼女の恋には全く無関心で、せんさくする気など皆無だった。彼女だけの世界の出来事なので、頼まれた郵便をポストに入れるような気持ちである》(以降《》内は同書より引用)
越路さんは昭和34年、作曲家・内藤法美さんと結婚。2人の間を行き来したのも、岩谷さんだった。
■夫も嫉妬するほどの“知りすぎている”仲
内藤さんは当時、作曲家、ピアニストとして活躍していたが、音楽業界では、越路さんと岩谷さんのほうが格上だった。
「しかも2人には、夫でさえ立ち入れない、強い絆があります。内藤さんは岩谷さんに対し、嫉妬心にも似た、複雑な思いを抱いていたのではないでしょうか」(田家さん)
敏感に察した2人は、こんなやり取りをしている。
《「内藤さんは私が嫌いなの?」「ごめん、時子さんが自分より早い時代から私を知っているのが、嫌らしい」》
越路さんはいい奥さんになろうと夫に尽くした。