2018年4月21日 11:00
芥川賞作家・若竹千佐子 最愛の夫の死の裏に見出した”自由の喜び”
それはとても寂しいことだけれども、逆から見れば、自由ということなんです」
夕方6時になっても、まだ好きな本を読んでいられる。本当はあまり好きではなかったテレビの野球中継を消しても、誰にも文句を言われない。そんなささいなことでも、自分で決めたことを自分で実行できる喜びに、若竹さんは気づいてしまった。
「夫が死んだことを『うれしい』だとか『自由だ』なんて言っちゃうのは、タブーですよね。でも、そういう気持ちを抱いた私がいるということを、ちゃんと書いてやろうと思ったんです。そうしないとフェアじゃない。私の心を本当に表現したことにならないから」
自らが主人公の人生を歩む――若竹さんは力強く爽快な宣言とともに、小説家として、第二の人生を歩み始めた。
「小学生のころから『図書館の本棚に私の本が1冊あればいいな』とずっと思ってきました。
でも、1冊だけだと倒れちゃうよね。だから、並べても本が倒れない程度に、あと何冊かは、書かなくちゃ」
散歩中…友人「あそこ何かいない…?」”廃神社の前”を通るとそこには【人ならざるもの】がいて…