“出会い”が人をつくる。武正晴&山田孝之が語るNetflixドラマ『全裸監督』
しかし膨大なエピソードと登場人物が絡み合う村西の物語を8話のエピソードに落とし込むのは「紆余曲折あった」と武監督は振り返る。「シナリオをつくる段階でまず“このシリーズはどこから始めるの?”という議論があって、あらゆるパターンが考えられました。どのパターンもすごく面白くて、さらに“どこで終わるの?”っていうのも、いろんなパターンがあって……最終的には一番オーソドックスに時系列に描くことに落ち着いたんですけど、そこにいたるまでは紆余曲折がありましたね」
当初は村西がアダルトビデオの世界で強烈なキャラクターを発揮している段階から物語を始める案もあったという。しかし、武監督とスタッフは「村西とおるは“怪物”ではないというスタンスで作り始めた」と語る。「だから、村西が教材のセールスマンだったところから物語を始めて、“あれ? 意外と普通の人じゃん”って思っていると知らない間にすごく変わってる……でも、それって普通の人もそうじゃないですか? 立場に変化があると、その人も変わりますから」
山田も「誰もがその場で求められているスイッチを押している部分はあると思う」という。「村西さんご本人にお会いすると“村西とおるになるスイッチ”を入れてから喋る人だなって感じたので、結果的にカメラ前に立つとスイッチが入るし、それは英会話の教材を売る時にこれまでとは違った話し方をするスイッチを入れてみたら楽しくなって、人からも認められてやめられなくなって……それが“教材を売る”から“エロをつくる”に変わったんだと。