2023年4月12日 17:00
ミュージカル『マチルダ』トニー賞受賞のデザインの秘密に迫る ロブ・ハウウェル緊急インタビュー
同じことを、劇場でもしてもらえるのではないかと思ったんです。客席に着いた、その日初めてその場に集った観客全員が、同じ条件で舞台のアルファベット・タイルを見て、単語を見つけるゲームをすることができるのではないかと。しかもまだ音楽も流れない開演前から、そのゲームは始まっているのです。舞台空間に広がるおもちゃの持つエネルギーを感じて、そこにいるみんなが繋がっていく、というアイデアです。
子どもたちに演じてもらうことの責任
――まさに過剰なまでのエネルギーが強調されている装置で、それが作品全体のテイストにもなっていますね。
ミュージカル『マチルダ』日本公演より撮影:田中亜紀
Hこの作品では「exaggerated(強調されている)」ということを、クリエイター全員が共有しています。ティム・ミンチンの音楽も、デニス・ケリーの脚本も、私のデザインも、みなそれぞれが揃ってボリューム・アップに努めているので、この装置を見たら、もうデニス・ケリーが書いたお話の雰囲気が伝わってくるでしょう。同じように、ティム・ミンチンの楽曲を聞いたら、どんな作品か想像がつくと思います。
ティムの音楽はスタッカートが多用されていて、ピーター・ダーリングの振付もそれにあわせてタッ、タッ、タッと短くキレのいい動きになっています。