2022年1月7日 12:00
山路和弘が語る声優の神髄「どんな仕事であっても“無防備”でいること」
山路そうですよね。ビジュアル面では、水に支配された世界が何とも言えないジリジリとして感覚で。個人的には『ウォーターワールド』を思い出しましたけど。そういった近未来の空気が満載な上に、とてもピュアな人間のドラマが描かれている。
ここでは言えませんけど、結末もね、とても純粋じゃないですか。観ている途中で、こういう展開になるんだとは予想もできなかった。そういう面白さがあったと思います。映画だからこそ、こういう結末もアリなんだという“映画の良さ”を感じますね。
──“記憶”が題材になっているのも、ユニークな点ですよね。
山路あくまで“記憶”であって、“記録”じゃない。だから、主人公のニックが目にする記憶が、本当にそのものどおりの現実なのか、実は相当美化されているものなのか……。そこがすごく引き込まれる点であり、演じるこちらとしては難しさもありました。「これは現実なのか?それともイメージなのか?」というバランスのさじ加減がね。
──それは演じ方が変わるということですか?
山路うーん、言葉では説明が難しいですけど、現実の世界であれば、声質も少し硬いものになりますし、美化された記憶やイメージの世界であれば、柔らかくなる。