勘九郎「大変な時期に追善ができる喜びと感謝の気持ち」 若き中村屋が挑む『二月大歌舞伎』
着てみたらものすごく重くて、写真撮影が終わった後に踊ったら、死にそうになりました」と告白(泣きそうになったらしい)。
『袖萩祭文』袖萩:中村七之助、お君:中村長三郎撮影:篠山紀信
『袖萩祭文』は、盲目となり雪のなか門付け芸で三味線を弾きながら勘当された親に許しを乞う袖萩と、そんな母をかいがいしく労る娘のお君の姿が、涙を誘う義太夫狂言。七之助が初役で袖萩をつとめ、7歳の長三郎が、しどころの多いお君に挑戦する。
「奥州で最強とされた安倍一族の話ですが、ここは一族の成り立ちや絆、プライドなどの要素が詰まった素晴らしい場面で、袖萩はそのキーポイントになる役。お君ちゃんはいろいろな仕事をしなければなりませんが、それが仕事に見えず、袖萩と深い愛情で繋がっている母娘と見ていただけるよう、一生懸命につとめます」と甥っ子を慈しむように話す七之助に対し、いつも周囲をハラハラさせながら、本番には強いという実績がある長三郎は、「緊張と楽しみがくっついてます」と、大物らしい含蓄に富むコメント。
泉下の十七世と十八世が、大きな力で4人を見護り、一段と成長させてくれることだろう。
後列左から、中村七之助、中村勘九郎、前列左から、中村長三郎、中村勘太郎(c)