あの名曲はこうして生まれ、進化した! 巨匠アラン・メンケンが語る『アラジン』
実は当時、メンケンを取り巻く状況も上々ではなかった。彼は作曲家として数々のミュージカルナンバーを手がけ、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』『リトル・マーメイド』『美女と野獣』などの作品で大成功を収めていたが、長年に渡ってタッグを組んできた作詞家/作家のハワード・アシュマンが病に倒れ、「ハワードはもう長くはないとわかっていましたから、彼にプレッシャーをかけないためにも私たちコンビは『アラジン』のプロジェクトから離脱することになりました」
脚本が書き直されている間にハワード・アシュマンは天国に旅立ち、再びメンケンに声がかかった。「新たな作詞家ティム・ライスがやってきて、楽曲制作が再開されました。しかし私は不安でした。ハワードを失ったことによって私のキャリアやこの作品がどれほどのダメージを受けているのかまったくわからなかったからです」
しかし、メンケンは不安や悲しみを振り払ってメロディを紡ぎだしていった。よりどころになったのは朋友ハワードの遺したアイデアや歌詞だったという。「この映画の音楽の基になる構造をつくったのはハワードなんです。楽曲の重要な部分は彼の遺した歌詞による部分が大きい。