あの名曲はこうして生まれ、進化した! 巨匠アラン・メンケンが語る『アラジン』
ティムはいくつかの曲で“あえて”ハワードの歌詞の型を踏襲してくれました。その上で私とティムが初めて一緒につくったのが『ホール・ニュー・ワールド』です。この曲はこれまでにはないカラーをもった曲と歌詞で、私とティムのコラボレーションの出発点になりました。その後、ブロードウェイ版の『美女と野獣』を創作する際にもこの3人が揃いました。ハワードが遺した歌詞と私のメロディ、そこにティムが加わるわけです」
結果として本作の主題歌『ホール・ニュー・ワールド』は全米総合チャートで首位を獲得。アカデミーでは歌曲賞を、ゴールデングローブでは主題歌賞と映画音楽賞を、グラミーでは最優秀楽曲賞を受賞した。「本作のメロディを書く際に頭にあったのは『千夜一夜物語』の世界、それもハリウッド黄金期の映画が描いていたきらびやかな中東のイメージです。ボブ・ホープとビング・クロスビーがコンビを組んだ映画『モロッコへの道』とか『アフリカ珍道中』とか……あの世界観にオマージュを捧げたいと思いました。
『アラジン』の音楽を語る上では1940年代のハリウッド映画のスタイルが非常に重要だと思います」
本日から公開になる実写版『アラジン』ではメンケンのメロディにさらに磨きがかけられ、より現代的なアレンジで鳴り響いている。