エロティック、グロテスク、ミステリアス……人の心を惹きつける 「あやしい」絵画表現を紹介する『あやしい絵展』をレポート!
合わせて、当時の芸術家たちに多大な影響を与えたアール・ヌーヴォー、そしてラファエル前派の作品など、西洋の絵画も展示されている。
(左)アルフォンス・ミュシャ《ジスモンダ》1895年、(右)ダンテ・ガブリエル・ロセッティ《マドンナ・ピエトラ》1874年
(手前)与謝野晶子『みだれ髪』藤島武二 装幀 1901年
明治に入り、加速する近代化・西洋化は芸術面にも大きな影響を与えた。宗教画や神話画など伝統的な手法と技法で表現すること、人々のごくごく個人的な体験や感情を表現することなど、西洋では数百年かけて発展してきた表現の技法や考え方は、まとまって一気にもたらされ、芸術家たちはそれぞれの表現を模索するようになっていく。そして時代は進み、明治30年以降になると、印刷技術の発展により絵葉書やポスターが普及。「美人」のイメージが大衆に共有されるようになる。この流れのなか、芸術家たちは本質的な美とはなにかを追求。それぞれの手法で、魅力を持つ女性たちを描きはじめるようになっていった。
展示風景
例えば、甲斐庄楠音は、女性の表情の奥底にある感情まで見えるような絵を描き、島成園は顔に痣のある女性が持つ、強い意思を描こうとしている。