アカデミー賞候補の仏映画『レ・ミゼラブル』。監督と出演者が語る「現代の問題」
だから、実際に生きている自分たちが語るべきだと、思ったんだ」
ただ、そう事は簡単に動かなかった。「10年前からこのテーマで長編を作りたいと思っていた。でも、まったく資金を調達することができなかったんだ。僕は15年ぐらい前からドキュメンタリーを発表してキャリアを重ねていたけど、それもこれもこの長編を作るため。すべてがここに終結するための準備だと考えていた。その間には、潤沢な予算で長編を撮ってみないかという、とても魅力的な話も舞い込んできた。でも、自分の長編映画第一作はこの題材と決めていたから断ったよ。それぐらい決意は変わらなかった」
そこで、まず同名の短編映画を作ることにする。
「今回、長編にも出演している同じようなメンバーで撮っている。なかなか資金が集まらないから、まずは自分たちの実力をみてもらうために、短編を作ることにしたんだ。それはすごく評判が良くて、実際、いろいろな映画祭で数多くの受賞をした。これで“いける!”って思ったんだけど、現実は甘くなかった。当初予定した予算の半分も集まらない。でも、これ以上は待てないということで、低予算体制で撮影を決行したんだ」
作品は、ムスリム同胞団と麻薬売人が覇権争いを繰り広げ、民族間の対立もあれば、黒人とロマの衝突もある。