アカデミー賞候補の仏映画『レ・ミゼラブル』。監督と出演者が語る「現代の問題」
ラジ・リ監督はこういう。
「日本の社会はちょっと、みんなが同じ方向を向かないとダメというところがあるよね。そこは少し考えるべきことかもしれない。フランスは相互援助が当たり前という意識が市民の中にある。だから、たとえばホームレスがいたら、日本では“そういう状況になったのはお前のせいだ”と思う傾向が強いというようなことを聞いたことがあるけど、フランス人でそう考える人はほとんどいないんじゃないかな。“人生でちょっとまずいて時間が必要なのかな”ぐらいに考える人がほとんど。人権が大切にされているからね。そういう人権や個人の尊厳といったことにも思いを馳せる時間に、この作品がなってくれたら、うれしいと思っているよ」
監督自身、社会がいい方向にいくようアクションを起こしている。
「映画学校を設立して、学費無償、条件一切不問で、子供たちを受け入れている。次世代の子たちが自分たちでカメラを手にして、自分たちの身の回りのことを撮らせている。まずは自分が生きている地点の現実を知ることからなにごとも始まるからね」
『レ・ミゼラブル』
2月28日(金) 新宿武蔵野館、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
取材・文・写真:水上賢治