大槻ケンヂ×燃え殻対談『今のことしか書かないで』は燃え殻調でいこうと思ったんだよ
コロナ禍によって、陰謀論とか、いろんなことがあって……ああ、人間って断絶してるな、っていうのが、ものすごくわかってしまって。でも、その中で……これはね、どなたの言葉だったか忘れちゃったんですけど……物語というのは、結局無力なんではないか。小説なんか書いたところで、無力だ。という絶望はあるけれども、今世界にはびこっている悪しき物語、悪い現実に対抗しうるには、良き物語を書くことで、その物語の希望によって対抗することしかできないんだ、と。それに「あっ」と思って。書くってつらいじゃないですか。
燃え殻はい。
大槻で、読むのもなかなかつらいじゃないですか。
スマホひとつあればなんでもできるこの世の中で、それでも本を書く、本を読むっていうことの意味、その大事さっていうのを……それはロックで歌うっていうことにもつながると思うんだけど。やっぱり、自分なりに良き物語を綴ることによって、リアルにおける悪しき物語に戦いを挑む。せめて一矢報いる。なんとかそれに占領されないようにすることしか、できないんじゃないか。そんな気持ちで最近は、書いたり、歌ったりするようにしていますかね。まじめなことを言うようになってしまう、60も近くなると。