大槻ケンヂ×燃え殻対談『今のことしか書かないで』は燃え殻調でいこうと思ったんだよ
受け手としても、作り手としても、「虚実入り交じるもの」がテーマのひとつになっていて、その最新の形が今回の本というか。
大槻うん。虚と実、フェイクかリアルか、っていう。それは……まじめに言うけど、やっぱり梶原一騎の影響が大きいと思います。
燃え殻『プロレススーパースター列伝』?
大槻も、そうだし、あと『空手バカ一代』。大山倍達の半生を描いた作品だけど、大山倍達が亡くなってから、ほぼ嘘だっていうのが、どんどんあきらかになっていった。その衝撃。でも、そこがおもしろかったの。
自分はだまされていたけど、『空手バカ一代』がおもしろかったという事実は、拭いきれない。ユリ・ゲラーとかもそうだしね。
燃え殻でも今回の本が、そういう大槻さんが好きだったものと違うところは、著者が最初から宣言している。「これ、本当と嘘が入ってるよ」って。そこがフレッシュ。
大槻(笑)。
燃え殻その上で、読んで、わかんないんですよ、どこが本当でどこが嘘か。「そう言いながら大槻さん、実は本当のことしか書いてなかったらどうしよう」とか、逆に「全部嘘だったらどうしよう」とか。
それがおもしろくて。
大槻まじめな話をすると、ちょうどコロナ禍明けぐらいに、この連載が始まったんですけども。