2022年8月15日 18:00
国宝《唐獅子図屏風》ほか皇室の至宝が一堂に 『日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱』をレポート
三の丸尚蔵館蔵
第1章「文字からはじまる日本の美」は、平安時代に生み出された仮名文字が発展し、美の概念へ結びつき、展開していく過程をたどっていく。藤原佐理の流麗な文字が美しい《恩命帖》は、宛名はないもののへりくだる表現から佐理が上位者へ宛てたお詫びだと考えられている。伝藤原行成の《粘葉本和漢朗詠集》は、竹製の紙に亀甲や牡丹などの文様が雲母で擦りだされた唐紙に『和漢朗詠集』が書き写され、秀麗さが際立つ。
昨年、国宝に指定された小野道風の書として知られる《屏風土代》は9月6日(火)より、この章で展示される予定だ。
手前 藤原佐理《恩命帖》平安時代 天元5年(982年)三の丸尚蔵館蔵(9月4日まで展示)
伝藤原行成《粘葉本和漢朗詠集》平安時代(11世紀)※場面替えあり
第2章は「人と物語の共演」。人々が創り出した数々の物語をもとにした美術作品が紹介される。狩野永徳の制作と伝えられている《源氏物語図屏風》は、本来は襖絵であったものと考えられている。左隻は「若紫」、右隻は「右上に常夏」、左上に「蜻蛉」の場面が描かれた、重厚であり、可憐さも感じさせる作品だ。
奥伝狩野永徳《源氏物語図屏風》桃山時代(16〜17世紀)