「中野にあなたの故郷が生まれます」ノックノックス『おぉーい。』ヤストミフルタ×藤谷みきインタビュー
(ヤストミに)でも書き始めるまでは「コロナにぶつけるぞ」って気迫があったよね? どうして変わったの?
ヤストミ目の前にお客さんがいる形で上演できる条件が整った時に、客席にいる子どもの顔を思い浮かべました。そうしたらコロナ禍を題材にする気持ちがどこかへ飛んでいってしまって。夏休みシーズンの上演ですし、とにかく大人より子どもに楽しんでもらうことを考えたら、僕の訴えたいメッセージはいったん脇へ置いておこうかな、と。
──脇に置いたとはいえ、台本を拝読するとこの作品は単なる「ぼく」の冒険物語ではないと思いました。ご覧になったお客さんは、この作品から何を持ち帰れるでしょうか?
ヤストミ僕自身、寂しいのが得意じゃないので「孤独を癒す」という要素は入っていますね。それ以外でいうと、ノックノックスは環境問題や生物多様性といったテーマで作品づくりをしてきました。今回も絶滅したといわれている動物が登場しますし、少年が親友のために探すミヤマクワガタも減っている現状が劇中で語られます。自然や環境について子どもたちに興味を持ってもらえたらいいな、って。
藤谷『人魚姫』の時もそうでしたよね。劇中で人魚姫を大好きになった女の子が「海は汚くしちゃいけないんだ」