「発明したものを、実用化したい」上田誠が語る『あんなに優しかったゴーレム』再演
を、東京をはじめ各地に持って行って流通させているような意識があるんですね。そしてそれは「その場所でしか生まれないもの」を持っていくから面白いんだと思っています。今ではメンバーもそうですが、僕もほとんどの仕事は東京です。でもやっぱり京都で脚本を書いている。京都のタイムスケールじゃないと盛り込めないものってあるんですよ。
――京都のタイムスケールですか。
今もヨーロッパ企画の公演の稽古は、京都で一か月間やっています。僕らは、15年目くらいまでは誰も東京に引っ越していなかったし、長年、京都ののんびりした時間の流れの中で培ってきた、なんというか「毛穴の開き方」みたいなものがある。
それは絶対そのほうが珍しいと思うんですよ。そういう意味で、10年前は今よりもっと「土がついた野菜」みたいな感じだったんですね。今でも、東京で受ける取材と、京都で受ける取材の答え方は全然変わりますし。
――私自身が地方出身なのでわかる気がします。
だけど東京には東京のいいところがある。例えば俳優なら「今期はあのドラマにキャスティングされた。来期はどのドラマにキャスティングされるのか」とか「もっといい役を」というような戦いは、絶対に俳優を強くします。