2022年12月26日 12:00
原点に立ち返りつつ未来を見据える! 世代を牽引する旗手・阪田知樹が節目に贈る王道プログラム
2023年末に満30歳を迎える阪田知樹。節目の年の始めに開くリサイタルには、J.S.バッハ、ベートーヴェン、ラヴェル、ショパンを並べた。正統的なピアノ音楽の系譜を辿るような、まさに「王道」のプログラムだ。それが逆に、彼のリサイタルとしてはやや意外、と感じるファンもいるかもしれない。
「そうかもしれません(笑)。阪田知樹のリサイタルというと、きっと何か1曲は珍しい曲が入っているというイメージをお持ちの方は多いと思います。あるいはリストの作品を弾くか。今回はそのどちらも入っていないですからね。
東京オペラシティ コンサートホールでのソロ・リサイタルは今回が初めて。あの澄んだ響きの中で何を弾きたいか、自分の中で思い巡らせた結果、定番中の定番という曲目になりました」
とはいえ実は、どの曲にも彼の代名詞でもあるリストが隠れている。
「プログラムの核として最初に決めたのがショパンのピアノ・ソナタ第3番です。ショパンはもちろんリストの友人であり、リストはこのソナタを自分でも弾いていたようですが、ベートーヴェンの《熱情》と同じぐらい難しいと評しているんですね。またラヴェルは、リストが切り拓いた道があったからこそ自分たちの時代があると言って、尊敬の念を抱いていました。