2023年10月30日 12:00
【おとなの映画ガイド】パリで繰り広げる女たちの悪だくみ!人気監督フランソワ・オゾンのおしゃれな犯罪コメディ──『私がやりました』
これが、主役でなく、どちらかというと脇の、しかも悪女役。登場した途端、その存在感たるやスゴイ。
主役を演じるナディアとレベッカのふたりは、若手有望女優といっていいが、ユペールを始め、脇役はシブい役者が揃った。オゾンの『すべてうまくいきますように』で父親役を演じたアンドレ・デュソリエ、『しあわせの雨傘』のファブリス・ルキーニ。今年4月に公開されたクリスチャン・カリオン監督の『パリ・タクシー』で主演したダニー・ブーンも、ちょっとウサンくさく見えるところが魅力のステキな役を演じている。
そんな登場人物たちを一層際立たせているのが、気配りの行き届いた、セットや衣装などのディテール。
時代は1935年の設定。第二次世界大戦までにはまだ多少時間がある。
アールデコの時代が続いている。そんなパリの小さな通りをセットで作り、ヨーロッパの各地に残る建造物でロケもして再現。衣装は当時の雰囲気を壊さない程度に現代的なアレンジを加えている。
オゾン監督は、「1930 年代スタイルを楽しみながら再現したけれど、一見時代遅れに見える素材を使っ て、今の時代にも通じる生き生きとしたテンポ感で、現代性を強調することができたんじゃないかな」