2022年10月30日 12:00
【おとな向け映画ガイド】稲垣吾郎がハマリ役。現代の愛を描く今泉力哉監督の『窓辺にて』
今泉監督のオリジナル脚本だ。
稲垣吾郎が演じているのは、一度だけ小説を書いたことがあるが、それっきりで、いまはフリーライターをしている市川茂巳。妻・紗衣(中村ゆり)は編集者で、担当している新進作家荒川円(佐々木詩音)と不倫関係にある。それを知ってしまった茂巳は悩む。裏切られたとか心が傷ついたとかではないその悩みとは、「妻の不倫を知っても何も感じなかったことが、ショックだった」というもの。やはり、相当面倒なオトコである。
妻は妻で、道ならぬ愛に燃えているわけではない。どこか冷めている。
普通は、不倫といえば、背徳のイメージがあり、それが興奮剤のように作用し、恋に落ち、恋の相手しかみえないようになっていくのだが、紗衣は一方でちゃんと茂巳のことを愛しているのだ。こちらも一筋縄ではいかない。
茂巳は文学賞の取材で、受賞した高校生作家・留亜(玉城ティナ)に出会い、その作品に興味を抱く。感性の合うふたりは、たがいに好感を持ち、デートのように会って話をするが、留亜の自由でとぎすまされた感覚は茂巳にとっては、刺激的だった……。
「今回、浮気とか不倫をしている人がたくさん出る話にしようと思った。