布袋寅泰、アーティスト活動40周年記念ライブが今週末に開催!
というテーマこそ、布袋のロックンロールスピリットを正しく体現するものだと思える。
【Memories】
筆者が布袋寅泰という音楽家を初めて目にしたのは、新宿の老舗ライブハウスだった。80年代初頭、現在とはおなじ街の少し離れた場所にあったその店のステージから、熱気を切り裂くように聴こえてきたギターのカッティング。パンク/ニューウェイブ由来のどこか不穏な空気をまとった演奏と、ふっと顔をのぞかせる皮肉で洒脱なセンスが圧倒的な存在感を伴って、今も折に触れて思い返す。
その後、幾度か取材を重ねる機会に恵まれたが、20世紀も残すところ10年となった頃に実現したアーティストによる責任編集シリーズはなかでも印象深い。“20世紀に残したい名盤100枚”を名だたるアーティストに選んでもらうという企画は大変に時間と手間のかかるもので、100枚なんて多すぎる、いや100枚なんて絞れない、とずいぶんとお叱りを頂戴したが、100枚というボリュームゆえか、選者の音楽的な原点やそれが流れていた時代、往時の心象風景までをもビビッドに照射する学び多き結実を得たと自負している。布袋の100枚もその例にもれず、楽しい仕事だった。