尾上右近ロングインタビュー! テーマは“親の愛”。8回目の自主公演に込めた思い
でも「研の會」は“尾上右近自主公演”と謳っている以上、尾上右近の公演じゃないですか。「さあ右近を観るぞ」と前のめりなテンションで来てくださる。それはありがたいのですが、いつもの公演のようなフラットなテンションで観て欲しいというワガママな右近くんが心のどこかにいて。
熱烈な拍手や熱い空気をいただくと嬉しい反面、自主公演でしかできないことをやっている、ここでしか観られない貴重なものを観ていると思われているのかなと悔しい気持ちもあった。僕としてはこれが歌舞伎の1ヵ月の本興行に繋がれば嬉しい、ここで伝え切るのではなく“繋がっていく”という気持ちで演じているんだけどな……という思いも抱いていました。だから寝ちゃっている人を見て、特別なものではない、普段の公演のように馴染んで観てくれているんだと思って嬉しかった。それが去年、初めて感じた思いです。
――お客さんにとっては右近さんの「研の會」が日常的なものになってきた感覚がある一方で、右近さん側も肩の力が抜けてきた……ということもありませんか?
そうなってきたのかもしれませんね。
気の置けないメンバーと一緒だったというのもあったと思います。もちろん「この瞬間にかけるぞ!」