尾上右近ロングインタビュー! テーマは“親の愛”。8回目の自主公演に込めた思い
そうそう、ジキルとハイドのように謙虚な自分と大物な自分がいて、「えっ!?」と返した自分が、自分で恥ずかしかったんです。でももちろん、半年足らずで歌舞伎座でできるというのは嬉しかったです。
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2023年開催、第七回「研の會」で白拍子花子を勤める尾上右近さん©研の會(撮影:田口真佐美)
――「研の會」で一度やっていたからこそ歌舞伎座では落ち着いてできた、というようなことは。
歌舞伎座でやるというのは特別ですので「歌舞伎座だ!」という緊張感はあります。ただ特に『道成寺』のような演目は、僕ひとりではなく、音楽家さんや後見(衣裳を引き抜いたり小道具を渡したりする)との兼ね合いもあるし、舞台袖に引っ込んでからの着替えの段取りなどが重要になります。そのテンポを噛み合わせるのに神経を使うのですが、それは自主公演で経験しているから慣れている状態で臨めました。そうなると逆に、リラックスしてしまって勢いが削がれる危険性がでてきてしまうので、それは何で補って立ち向かうかという課題も出てくるのですが。
――どう立ち向かっていかれたのですか。
約半年のスパンでの再演でしたが、自主公演から5年くらい経った感覚でやろうと思って踊ったんです。