「良い、悪い、じゃなくて面白いと言ってくれた師匠」柳家はん治インタビュー
ですから古典と全く同じ感覚で新作もやってます。
──ぴあ落語ざんまい4月の「月間視聴回数ランキング」で「モーツァルト」が1位になりました。
ちょっと意外ですよね。ネタ的にも東京では珍しい。大阪の(桂)文枝師匠のネタ(新作落語)ですから。
──弟子を取って若手を育てる立場になられて思うことはありますか。
本当のこと言うとあんまり教えてませんね。自分もそうだったけど、師匠だったり周りの仲間を見ていればわかるだろうと。
もちろんネタを覚えたり、演出をいろいろ考えたら当たり前なんですけども、この世界でご飯食べて、魅力的な良い噺家になりたいと思えば、そのやり方は自分で考えないとねってなことで。自分に何が足りない、何が魅力的なんだろうとか、いろいろ感じながら勉強していくしかない。
うちの(小三治)師匠が言ってたのは、若い頃、大師匠の小さんに“おめえの噺は面白くねえな”と言われたんですって。それがものすごいショックで“眉間を拳固(げんこ)で殴られたような気持ちがした”みたいなことを言ってね。どうしたら面白くなるんだろうってことも聞いたとしたら、“そんなことおめえ、自分で考えんだよ”と。そういうとこですよね。