くらし情報『「良い、悪い、じゃなくて面白いと言ってくれた師匠」柳家はん治インタビュー』

「良い、悪い、じゃなくて面白いと言ってくれた師匠」柳家はん治インタビュー

いっぱいあるんですけどね。初めて教わったのが『道灌(どうかん)』という噺で。柳家一門は大体『道灌』から始まるんです。うちの師匠も、師匠の小さんから『道灌』を習った。僕のすぐ上に、もう亡くなったんですけども喜多八という兄さんがいて、ふたりで前座をやってるときに小三治師匠からその噺を教えていただいた。一生懸命覚えて、まだ見習いでしたから、なかなか初高座なんて上げてくれなくて。入門してその翌年だったかな、大学の学園祭があった。うちの師匠がゲストで行って、その前に前座で上がるということで連れてってもらった。


学生さんが数人、達者な人が出て高座をやったんです。それ初めて聴いたら皆うまいなと思って、ちょっと怖くなってね。師匠に「お前がやりたいようにやってきな」みたいな感じで送り出されて。出て素直にやったんですけども、ドーンと受けたんですよ。“お客さんに受けた”と思った瞬間、噺を忘れて真っ白になってね、一緒に行った兄弟子がその続きを袖から教えてくれてやり直して。うちの師匠がやたらおかしかったみたいで「面白かったよ」なんてこと言ってね、嬉しかったんですけどね。“良い”とか“悪い”じゃないんですよ。

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