シム・ウンギョン“最初の日本映画”が公開に。「さまざまな女性像を表現したい」
そうやって人生が回っていくということ、めぐり合わせが描かれているなと思います」
映画を観ると、ワンシーン、ワンシーン、本当に丁寧に大切に撮影したことがひしひしと伝わってくる。シム自身、現場で上田監督の撮影に驚かされることが多々あったという。
「私の出ているシーンではないんですが、鈴木京香さん演じる陶子さん(渚の叔母)が窓を閉めたおうちのリビングに座っているシーンで、すごく暗い空間に雨戸の隙間から繊細な光が差し込んでいるんですけど、監督は何度も何度もそのシーンを撮り直されていたんです。
最初、私は“何が違うんだろう?”と思って見ていたんですが、本当に目を凝らして見ないと分からない映像の繊細さが、近くで見せていただいてやっと見えてきて――そこで見えてくる鈴木さんの切ない表情であったり、風景はすごく印象的でした」
劇中の絹子と渚の関係そのままに、現場では富司純子から学ぶことも多かった。
「渚は、絹子さんがいなければ演じられなかった役柄だと思います。実際にご一緒させていただいて、富司さんの演技への熱量、この作品への思いというのは本当にすごかったですし、現場での富司さんの佇まい、そして絹子さんとしてのお姿も本当に美しくて……。