くらし情報『おとな向け映画ガイド 「悪カワヒロインアクション」と「三島由紀夫vs東大全共闘秘蔵映像」が今週のオススメ』

おとな向け映画ガイド 「悪カワヒロインアクション」と「三島由紀夫vs東大全共闘秘蔵映像」が今週のオススメ

討論会が行われたのは1969年5月13日。東大安田講堂事件の数カ月後です。前年には新宿南口が炎上した新宿騒乱事件があり、学生運動はますます過激化。繰り返されるデモでは、ヘルメットにゲバ棒の新左翼が投石と火炎瓶で機動隊と激突していました。そういう空気のなか、行動右翼として、つまり敵とみられていた三島由紀夫が東大全共闘から招かれ、駒場キャンパスへ論争に乗り込んだのです。

驚くのは、会場に集まった1000人の学生や壇上の全共闘メンバーを相手に、知識をひけらかして論破してやろうとか、馬鹿にするような態度は一切なく、真摯に意見に耳を傾けているところです。逆に全共闘の方が、超うえから目線で、えらそうです。それにしても、三島が、前年に楯の会という私兵のような集団を組織し、この討論会の翌年には、市ヶ谷の自衛隊で軍服を身にまとい、切腹自決するという最期を知っているだけに、いまにしてみればと、意味深長な発言もあります。
論争そのものはやや難解ですが、内田樹さん、小説家・平野啓一郎さん、社会学者・小熊英二さん、瀬戸内寂聴さんのコメントがあり、理解が深まります。実際に討論に参加した元全共闘の闘士たち、三島を師と仰ぐ楯の会メンバー、現場に立ち会ったジャーナリストへのインタビューなど、秘話満載です。

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