リアリティーホラー『ザ・ウォッチャーズ』が描く“真のテーマ”とは?
つまり、本作で彼らが対峙しているのは“ウォッチャーズ”であり、同時に自分自身の内面だ。
ワーナーホラーの大ヒット作『IT/イット』では、ピエロの姿をしたペニーワイズが恐ろしい存在として登場する一方で、登場人物それぞれの心の中にある不安と恐怖こそが真の乗り越えるべきものとして描かれたが、本作でも恐怖描写は観客を震えがらせるシーンでありながら、同時に“キャラクター表現”になっているのだ。
つまり、この映画のゴールは“恐ろしい存在=ウォッチャーズ”の正体を暴いたり、倒すことではないだろう。そこでは必ず登場人物の恐怖の克服がある、内面の変化があるはずだ。
“物語の力”にふれる
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ダコタ・ファニングとイシャナ・ナイト・シャマラン監督
森の中にある建物は三方を硬い壁が覆い、一方がハーフミラーのようなガラスに覆われている現代的な施設で、部屋の中もソファ、テレビ、古いDVDと現代的なアイテムが並んでいる。冒頭にはスマートフォンも自動車も登場するし、舞台の設定も現代だ。
しかし、本作は随所にファンタジーや民話、民間伝承など人間が長い時間をかけて語り継いできた物語や想像力の力を感じさせるモチーフが散りばめられている。