世界50以上の映画祭で高評価。『第三夫人と髪飾り』監督が語る
「私はアーティストとして強く信じていることがあります」とメイファ監督は穏やかに語り始める。「それは、個人的な物語を深く掘り下げれば掘り下げるほど、その作品は結果として普遍的なものになる、ということです。この物語は19世紀の北ベトナムが舞台になっていますが、私の心が痛みを感じるまで深く掘り下げて脚本を書きました。だから世界中の方がこの映画に共鳴してくださったのでしょう。どの国で上映しても“これは私の家族の物語だ”と言ってくださる観客がいます。まるで自分たちが過去にたどった歴史を改めて生きているような気持になる、と」
本作では一夫多妻制の社会が描かれるが、男性も女性も苦しい人生を送っていることが強調されている。絶対的な家長を中心に家族が構成され、女たちは“イエを継ぐ男子”を産むことだけを期待されており、男たちは家系を存続させることだけを期待されている。男性も女性も自由はなく、“再生産=家の存続”のために存在しているのだ。
「まさにそうです。この映画で描かれるような家父長制は、女性のみならず男性も深く傷つけてきたと私は考えています。この映画に若い男性が出てきますが、あのキャラクターは私の祖父にインスピレーションを受けて描かれたものです。