世界50以上の映画祭で高評価。『第三夫人と髪飾り』監督が語る
しかし私の母は家族の中で初めて親の提示したお見合いに対して“NO”といった人物でした。そして私は家族の中で初めてアーティストとして活動することができました。私はこのまま未来に向かって、人々の選択肢がさらに増えていってほしいと願っています」
本作はひとりの女性の主人公を中心にしたドラマを描きながら、その奥に潜む巨大な“システム”の存在を描き出していく。本作で最も力を持ち、人々を踏みつけているのは、家を存続させるための“システム”だ。メイファ監督は、そのことをより明確にするために劇中にあえて“もうひとつのシステム”を描き出している。それは一家をとりまく自然だ。
「はい。そのことはすごく意識しています。
自然は宇宙的な規模で動いているものですよね?人間の世界でどんなことがあっても、自然はそんなことはお構いなしに命をつないで次の時代へ続いていく。“家族という小宇宙”の外側には、自然という名の巨大なシステムが動いている。そのことで人間の有限性(=いつかは死んでしまう)は際立つでしょう。同時に、限りある人生の中で起こるから美しいという想いも強調されると思うのです」
人々は決められた人生を生き、何の選択肢も与えられないまま、苦しみ、悲しみ、許されぬと知っていてもなお誰かを愛し、何か突破口がないのかともがき続ける。