世界50以上の映画祭で高評価。『第三夫人と髪飾り』監督が語る
私の祖父と祖母は家が決めたお見合いで結婚し、50年もの間、夫婦として暮らしましたが、ふたりとも不幸なままでした。このシステムは男性にとっても決して良いものではないのです。ちなみに、かつて一緒に暮らしていた曾祖母に“他の奥さんと争ったり、嫉妬を感じたりしたことはないの?”と聞いたことがあります。曾祖母が言うには、ある種の競争はあったけど、それ以前に生活していくのに必死で、妻たちは助け合っていたし、お互いの出産を手伝い合う中で、ある主の共通言語のようなものが生まれていたそうです」
メイファ監督は自分が過去に家族から聞いた話を思い出したり、新たに聞き取りをしながら脚本を執筆する中で改めて「個人の自由が許されない社会は、女性にとっても男性にとっても害がある」と思うようになったという。
「この映画が描く時代は、男性も女性も役割が決められていて、自分で選択できる幅は極めて小さいものでした。私の曾祖父はパワフルな人でしたが、家父長制というシステムの中にあまりにも長くいすぎてしまったせいで、自分の息子と心を通わせることができませんでした。私の曾祖母は自分で人生を選ぶことができませんでした。祖母にも選択肢はありませんでした。