世武裕子インタビュー「表現者としてのクオリティがどんどん薄れていって、このままでは演奏家として危機感があった」
だから終わり方も、あれは私の解釈なんですけど、実は迷ったんですよね。
――プツッとした終わり方ですね。
最初はもっとプツっとしてたんですよ。
――そうなんですか。
さすがに、何て言うか、縁起悪すぎるからやめようって(笑)。
――なるほど(笑)。
少し、柔らかくしました。最後まで迷ったんですけど、今までの私だったら表現者としてそのカッコよさの方を選んでたと思うんです。
だけど、私が伝えたいのは、あなたの生きている世界は素晴らしいから、いろいろあるかもしれないけど、ちょっとでも楽しく生きて行こうよっていうことで、人の寂しさに対して、身もふたもないような幕切れをさせたくないと思ってやめました。
――少し抽象的な質問になってしまうのですが、この曲になぞらえて聞くと、音楽をやる上で、答えを求める感覚というのは世武さんにはあるのですか?
うーん、私はあんまりないかも。やっぱり探してる答えなんてないですから、生きてて。そもそも何を探しているのかもわからないまま何かを探しているじゃないですか、多かれ少なかれみんな。探していることに気づいた時がしんどいんですよね。自分が何かを探してしまっていることっていうのが。