『ピーター・ドイグ展』が映画ファンにオススメの理由とは? 絵画にみる映画の影響と、ポスター作品の魅力を紹介!
そんなドイグの絵画は、美術史も多様なカルチャーも血肉としたコラージュのようだ。都市と地方の格差、思春期、孤独、自然など、希望と絶望が表裏一体の現実を描いた映画がけっこうあり、人柄も感じる。
『ピーター・ドイグ展』展示風景。左《エコー湖》(1998)、《カヌー=湖》(1997-98)
さて、展覧会のメインである大型絵画は、影響を受けた二つの土地ーーカナダの森と湖を第1章、トリニダード・トバゴの海辺や町を第2章で紹介。1章には、『13日の金曜日』の最後に出てくる、湖に小舟が浮かび、人物が横たわるシーンにインスピレーションを受けたという《のまれる》《エコー湖》といった絵画がある。《エコー湖》にはムンクの《叫び》のイメージも含まれている。ちなみに3章に登場する『カビリアの夜』(監督:フェデリコ・フェリーニ)も湖が象徴的だ。また、第2章には、小津安二郎監督『東京物語』の静けさを念頭に置いた《ラペイルーズの壁》という絵画がある。
熱海の防波堤なのかもしれないが、イメージはかなり飛躍している。
《のまれる》 1990 年、油彩・キャンバス、197×241cm、ヤゲオ財団蔵 (c)Peter Doig. All rights reserved, DACS & JASPAR 2019 C3006
《ラペイルーズの壁》 2004 年、油彩・キャンバス、200×250.5cm、ニューヨーク近代美術館蔵 (c)