石丸幹二「描かれているのは人ごとではないと気づいてもらえたら」―ミュージカル『パレード』再演への思い
が作られているけれど、映画にはなっていない。胸がかきむしられるようなテーマだけど、ミュージカルだからこそ世界に投げかけることが出来たと、僕は思いましたね。
これは余談ですが、アメリカ人の仕事仲間と話をしていて、彼は南部のジョージア州の出身なんですけど、「幹二は『パレード』をやったんでしょう?どう思った?」って聞かれて。「僕はアトランタ出身だから、ブロードウェイでやっている人たちの感覚とは未だに違うんだ」と。未だに違うって何だろう?つまり彼の生まれ育った地域には、冤罪とされた判決を間違いだと思っている人が今もたくさんいるんだと。だからこのミュージカルがアメリカでやっていた時は、ものすごく衝撃だったと。この作品、アトランタでも4ヶ月、公演しているんですよね。「そういう作品なんだよ、幹二」と言われて、僕は「君はどう思っているの?」と聞き返せなかった、怖くて。
――その土地によって、観客の受け止め方が真逆だったりするわけですね。
そう、違うんですよね。アメリカはそういう国なんだと。それを聞いた時、再演をやる時には、そんなふうに思っている人が世の中にはいることも考えてやらなければ……と思いましたね。