義太夫狂言に新歌舞伎、鶴屋南北作品・・・見どころ満載の歌舞伎座『二月大歌舞伎』
義太夫狂言に新歌舞伎、鶴屋南北作品に舞踊と、2月の歌舞伎座も見どころの多い演目が揃った。
第一部は時代物の名作『本朝廿四孝』の『十種香」。戦国時代、長尾謙信の娘・八重垣姫は許嫁で切腹した武田勝頼の姿絵を仏間にかけて香を焚き菩提を弔う。その絵にそっくりな男・花づくりの簑作が現れ、姫は一目で恋に落ち、腰元の濡衣に仲立ちを頼む。その簑作こそ本物の勝頼だった……。八重垣姫は歌舞伎の立女方がつとめる大役「三姫」のひとつで、品格の中に濃い情愛を表現するのが難しいとされる。配役は以下の通り。
八重垣姫中村魁春
武田勝頼市川門之助
白須賀六郎中村松江
原小文治市川男女蔵
腰元濡衣片岡孝太郎
長尾謙信中村錦之助
もう一本は『泥棒と若殿』。
荒れ果てた屋敷へ泥棒に入った伝九郎は侍に出刃を向けて金を要求するが、金はないと突っぱねられる。この侍が実は松平成信、領主の次男だった。御家騒動に巻き込まれ幽閉されて飢え死にしそうになっているのだった。伝九郎は不憫に思い、成信の世話をしはじめ、ふたりの奇妙な同居生活が始まる。立場の異なるふたりに芽生える絆……山本周五郎の原作。
伝九郎尾上松緑
松平成信坂東巳之助
梶田重右衛門中村亀鶴
鮫島平馬坂東亀蔵
第二部は片岡仁左衛門と坂東玉三郎の麗しさとふたりの至芸を堪能する二幕。