長澤まさみ、秋山菜津子、阿部サダヲら出演のミュージカル『フリムンシスターズ』シアターコクーンにて開幕!
舞台上には、巨大な白い円錐形状の身体を持つ“バスタオルおじさん”が立ち尽くし、ボートに乗った“黒人”が通り過ぎたりするが、どうやら彼らはちひろにしか見えない存在のよう。彼女は沖縄のユタ=霊能力者の血が流れており、特殊能力の持ち主なのだ。さらに、西新宿の少し離れた別の場所には、かつて自分の車で妹をはね、その後別れた夫に娘の親権を取られて心を病んでしまった元・大女優のみつ子と、彼女を“同志”としてサボートするオカマの親友、ヒデヨシがいた。ふたりはある日偶然、コンビニで店番中のちひろと出会い、その運命を共にすることになる。
ちひろを演じる長澤は前半、生きているのか死んでいるのかわからないくらいの無気力ぶりを見せるが、みつ子に出会ってからは徐々に生気を取り戻していく。その影と輝きのコントラストが観客を魅了するのだ。みつ子を演じるのは、秋山。大女優としての存在感はあるが、間に差し込まれる笑いが松尾作品ならでは。
また、ヒデヨシというチャーミングな役柄を阿部が表現豊かに動かし、物語を彩っていく。さらに、ちひろをストーカーのように見つめる奇妙な少年・ジョージを演じた栗原の不思議な存在感、語り部だけではなく別の役でも印象的だった皆川、バスタオルおじさんや英国人演出家役の村杉、劇団員平目川や謎の韓国人ソヨン役の池津、コンビニ店長の妻どてみ役の猫背といった大人計画劇団員たちも強烈な個性を放っていた。