2024年1月14日 12:00
稀代の作詞家・森雪之丞 自選詩集『感情の配線』をリリース 「70歳になって気合を入れる意味で一番届きにくい詩からやろうと思いました」
これまでいろんなジャンルで言葉に携わって作品を発表して来たんですけど、詩が一番届きにくいジャンルだと思うんですよね。楽曲の歌詞なんかは親近感があるというか、自然に口ずさんだりするものだと思うんですよ。でも詩になると、とたんに遠くなってしまう。あるいは距離感が分からなくなってしまう。詩というものを書き始めてからの30年で5冊しか詩集を出してはいないですし、それだけ難しさを理解しているつもりなんですけど、だからこそ70歳になって気合を入れる意味で一番届きにくい詩からやろうと思いました。
――まさに私はこれまであまり詩というものに触れて来なかったんですけど、この『感情の配線』を読ませていただき、とても新鮮な驚きと楽しみがありました。おっしゃられたように、確かに詩というものはエンタテインメントという観点で言えば中心にはないものかもしれません。ですが例えば心の奥まで届くことのできる遅くて強いビートのように、ずっと残り続ける感触がありました。
それはとてもうれしい感想ですね。
――改めて自選されてみて、それぞれの詩から共通しているものがあるとすれば何だと思われましたか?
長いタームで書いてきたので、テーマも方法も作品によって違うんですけど、主題と遊びのバランスというのは常に意識してきたことだと思いますね。