オフィスで同僚が私物を勝手に持っていく…訴えられるか真面目に考えてみた
(多田弁護士)
■民事上の問題は?
「次に民事上の問題を考えてみましょう。
タバコやお菓子はあなたの所有物ですから、それを勝手に取っていく行為は、民事上は“不法行為”(民法709条)に当たる可能性があります。この場合、あなたは同僚に500円の損害賠償を請求することができます。
では、同僚がすんなり支払ってくれなかったらどうなるでしょう。あなたが利用することができる裁判手続がいくつかあります。少額訴訟、民事調停、支払督促などです。いずれも費用がそれなりに(500円以上)かかります。
例えば、少額訴訟を提起する場合、最低でも収入印紙代1,000円、予納郵券代3,980円等が必要になります(東京簡易裁判所の場合。
事情によりさらに多額になることがあります)。
裁判所に通う交通費もタダではありません(なお、訴状は、告訴状の場合と同様に、あなたが自分で作ることになるでしょう)。こういった訴訟にかかった費用は、あなたが勝訴すれば、一部、同僚に請求することができます。
ですが、そもそも同僚がお菓子代500円を払ってくれないから、訴訟を提起したわけですよね?訴訟費用だって、払ってくれないのではありませんか?
結局、民事上は、金銭面で割に合わず、裁判手続を取るのは難しそうだというのが結論になります」