しつこい宴会芸の強要はパワハラ?法的請求することはできる?
この場合は、当該強要行為が社会通念上相当な範囲を超えた態様で行われた場合には、不法行為(民法709条)に基づき損害賠償請求を行うことは理論的には可能です。
ただ、いかなる場合に“社会通念上相当な範囲を超えた”と言えるかは明確な基準はなく、あくまでケース・バイ・ケースの判断となると考えます。
例えば、上司が暴行又は脅迫行為によって当該強要行為を行ったような場合(行為態様が重大)や当該強要行為が危険行為の強要でこれにより負傷したという場合(結果が重大)は、損害賠償請求は可能でしょう。
そうでない場合は特段の事情がない限り基本的には難しいと思います(“特段の事情”としては、過去長期間にわたり同様の行為が反復継続されるなど著しい執拗性があり、これにより被害者が相当の精神的苦痛を被っていると評価される場合が考えられます)。
なお、この場合は、上司の行為はあくまで個人的行為ですので、会社に対する請求はできません。次に“宴会芸”の強要が業務として行われた場合です。同宴会が会社の行事として行われ、参加も事実上強制である場合がこれに該当します。
この場合、上司の強要が任意での実施を勧奨するものではなく、指示・命令として行われた場合は会合の性質上、業務命令と評価することが可能であり、この場合は(ⅰ)