プロ格闘家が暴行して逮捕…普通の人より罪が重くなるってホント?
という事実は、1つの事情として考慮され、その暴行態様が、一般人が同じことを行った場合よりも危険性が高いとして認定される可能性はあると思います。
ただし、そのことは暴行に至った経緯やその格闘家が置かれた客観的状況などから決められ、たとえば多数人に囲まれた状況で急迫した身の危険が迫っていたような場合には、正当防衛が成立する余地も当然あり得ます。
罪が成立する場合であっても、他の全ての事情をさて置いて、「プロの格闘家である」という事実のみをもって刑が重くなることはなく、あくまで総合的に判断されることになるでしょう。
その意味では、昔より「プロボクサーは拳が凶器とみなされるから、たとえ絡まれたとしても抵抗できない」などと語られることがありますが、誤った解釈といえると思います。
なお、かのガッツ石松さんは、世界チャンピオンになる前に喧嘩騒ぎを起こして逮捕されたことがあるそうですが、それは8人もの酔漢に囲まれてのやむを得ない正当防衛だったとして、送検される前に釈放となったそうです。プロ格闘家と比べるべくもありませんが、筆者も憲法の勉強をする前に拳法をかじったことがあります。
格闘技はあくまで己の心身を磨くためのものですから、自分より力が弱い相手に対し、ことさらにプロ格闘家としての力を発揮するなんてことは、格闘家の風上にも置けないだろうという思いがありますし、実際の裁判で罪を重くする情状として斟酌されてしまうリスクは低くありません。