電車の窓ガラスが破損…乗客が怪我をしたら責任はどこへ?
■(2)線路の敷石が跳ね上げられて割れた場合
次に、敷石が跳ね上げられることにつき、相当の注意をしていたとしても跳ね上げられる危険のある敷石を発見できなかったというような場合についてです。
これは、例えば、電車が通る直前にカラス等のいたずらによって線路上に置石がされた場合などのような不可抗力的な場合でない限りは、そのような危険を排除するという旅客運送上の注意を怠るものとして、鉄道会社は損害賠償責任を負う可能性が高そうです。
■(3)投石など第三者の行為によって割れた場合
最後に第三者の故意による違法行為が原因で窓ガラスが割れたような場合についてです。
原則として、その行為をした者が民法709条に基づく損害賠償責任を負うこととなり、旅客運送事業者が責任を問われることにはならなさそうです。
ただし、その行為が行われることが予見できたのにこれを防止しなかったなどの事情、具体的には線路に侵入防止のフェンスを設置しなかったとか、線路のすぐ脇で投石を伴う騒動が生じている状況を知りながら、何らの措置も取らずに通常運行したことにより投石事故が生じたような場合には、鉄道会社は旅客運送上の注意を怠ったものとして、損害賠償責任を負う可能性もあると思われます。