在職中の設計物にエラーが…退職後に修正義務はある?
ただし、会社は労働者を指揮監督していたわけですから、損害の公平な分担という考え方から、会社の労働者に対する損害賠償請求については、裁判上かなり制限され、軽い落ち度であれば認められないこともあります。
法律上は以上のようになると考えますが、改修作業がそれ程難しくないのであれば、退職した担当者としては、制限されているとはいえ賠償責任を負わないようにするために改修に協力し、会社の方も、退社した担当者に協力してもらう以上、相応の対価を支払うのが現実的であるかと考えます」(冨本弁護士)
担当者に「落ち度」があると判断された場合は、損害賠償責任を負うケースもあるようです。改修作業については、請負契約でなければ、原則応じる必要はないとのこと。
法的には以上ですが、ブラック企業などは強行な損害賠償や無償による改修作業を求めてくることも考えられます。その場合は、弁護士とともに然るべき措置を取りましょう。
*取材協力弁護士:冨本和男(法律事務所あすか。企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。
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*取材・文:櫻井哲夫(フリーライター。