カプレーゼの拡大解釈、定期的なSNSバズも…モッツァレラチーズは家庭にいかに定着したのか?
業務用の商品は限られた量の生産だったため、家庭用の製造開始に当たって工場に新たなラインを作り、国産ナチュラルチーズの増産体制を整えた。
「当初はイタリアの技術者をお招きしてお話を伺い、見様見真似で技術を習得したそうです。ナチュラルチーズは菌の制御がとても難しいのですが、当社の社内基準値は非常に厳しいレベルになっており、社内基準値以下に菌数が保てるように、品質を担保し続けることにすごく苦労したと聞いています」
品質管理のために、チーズを保護する水についても研究を重ねた。この水はチーズのみずみずしさを保ち、型崩れを防ぐためのもの。この水の配合を何度も検討した結果、保存料を使わずに、現在31日間美味しさをキープすることができるようになった。
さらにモッツァレラチーズ特有のモチモチ食感だが、これはチーズの組織を形成するタンパク質とカルシウムが関与している。「カルシウムがタンパク質の間をつないでネットワークを形成しているのですが、そのネットワークが密だと硬く、粗いと柔らかくなります。モッツァレラのモチモチ食感を表現するために、カルシウムとタンパク質の量やバランスを調整し、何度も試作を重ねていきました」。