わたしの敬愛する、最高にエキセントリックなお客さまたちのストーリー。【my lovely simple life in London vol.9】
キアはとても有名な彫刻家だった。そのキアのスケッチを山盛り抱えて、彼女はスタジオにきてくれた。
私達はその貴重なスケッチを一つ一つ綺麗に写し取り、二人が暮らしたグリニッジを中心にしたロンドンの地図を真ん中に配置し、彫刻のスケッチを回りに囲むように施して大きなタペストリーのようなブラインドをデザインした。キアが好きだったというオークツリーの葉もデザインに取り込んだ。
そのファブリックができあがり、プロの手でブラインドとなり窓にかかった日。
クレアは私達をよんでくれて、うれしそうに見せてくれた。
「キアのオフィスはこのままにしておくの、私の心がきまるまで、ここはキアのオフィス。こんなパーソナルで特別なデザインをありがとう。
きっと彼も喜んでくれてると思うよ」とちょっと泣きそうな顔でにっこりしてくれた笑顔を今でも忘れない。
それから、クレアは大のお風呂好き。
そんな彼女が「ハンサムなカウボーイをバスタブからながめるのもいいよね」と選んでくれたワイルドウエストトワルも、すっきりしたブラインドに仕上がった。