年の差54歳!『顔たち、ところどころ』は、チャーミングなアーティストコンビが贈る愛しいドキュメンタリー。
アニエスとJRは彼らの顔を撮影し、壁に貼り付けます。そうして、個人の心に秘められた物語が街の壁に大きく引き伸ばされ、掲示され、ときにはSNSで拡散され、市井の人々の人生に一瞬の光が当たる。この映画には、そんな感動的な瞬間がたくさん収められています。
© Agnès Varda - JR - Ciné-Tamaris - Social Animals 2016
例えば、今では寂れた炭鉱労働者の村にひとりで住む女性。彼女はアニエスとJRを前にして、炭鉱夫だった父の思い出を話します。そして、壁に大きく貼られた父のポートレートを見て、かつてここで働いていた仲間たちも、昔のことを語り始めるのです。
また、ル・アーブルの港街では、港湾労働者の仕事場を舞台に、そこで働く男たち……ではなく、(アニエスの提案で)その妻たちの全身のポートレートを、高く積み上げたコンテナの壁に貼り付けていきます。じつは、この港湾労働者たちはストライキの真っ最中。
そんな状況にもかかわらず、自分たちもアート作品に参加したいと、二人のプロジェクトに喜んで協力するのです。
アート作品という形でスポットライトを当てられた人々の姿を見ていると、“その人の働き方=(イコール)