ファッションから本当の幸せを考える。エシカルなレザーブランド【andu amet】の想い
しかし、毎日の業務に少しずつ疑問を感じるようになっていきます。
「新作発表の展示会に行くと、数百ほどの商品がダーッと壁を埋め尽くすんです。そのくらいたくさん商品があるのに、翌シーズンには全部なくなってしまう。一体どこに行くんだろうと不思議でしたが、すべて年間で廃棄されているのを、仕事で目の当たりにしました。」
もちろん廃棄にならない商品をつくることが前提であるものの、物によっては新品のまま、誰の手にも渡らず廃棄されていくファストファッションの現実。
自分がつくったものがどのくらい捨てられているのかを知ったとき、「本当にこの仕事を一生やるのか」と、そう考えたといいます。
「カタチはピカピカしてきれいだけれど、すぐ廃棄されてしまうもの。当時はよく、“きれいなゴミをつくっているだけ”という言い方をしていました。一生をかけてこの仕事をしていく自信がなくなってしまって。
同級生が看護師とか弁護士とか、社会の役に立つ仕事へ就いていると聞くと、自分がゴミをつくっていることに、ひどく苛まれました。」
それでもデザインの仕事が好きだった鮫島さんは、デザイナーとして人の役に立てることはないかと探し、人づてで知ったJICA(国際協力機構)