江戸時代後期、滝沢馬琴が28年の歳月をかけて完成させた、長編伝奇小説『里見八犬伝』。この大作が青木豪脚本、河原雅彦演出により舞台化、来年3月の東京・シアターコクーンを皮切りに、大阪、愛知でも上演される。そこで八犬士の一人・犬塚信乃を演じる阿部サダヲに、本作にかける思いを訊いた。
『八犬伝』公演情報詳細
今回の脚本を初めて読んだ時、「やったことがあるんじゃないかっていうくらい、読みやすかった(笑)」と明かす阿部。確かに登場シーンのセリフ回しからして、いかにも阿部らしい、破天荒でコミカルな信乃の姿が目に浮かぶ。「青木さんとは初めてですが、僕のことをすごくよく知ってくれている感じ。『これが言いたいんでしょ?』みたいなセリフも多くて(笑)」。
だが信乃と言えば、八犬士のなかでもヒーロー的な役割を担うキャラクター。
阿部本人は、今回の信乃役をどう捉えているのだろうか。「純粋な奴だと思うんですよね。信乃が戦隊もので言う“赤レンジャー”になるのではなく、ほかのみんながそれぞれの色に染まっていればいいのかなと。逆に僕だけが染まっていないというか。八犬士のなかでひとつ柱になるような、ブレない人ではいたいですね」。