ふたりの男が大地真央を取り合い? 『夫が多すぎて』開幕
10月30日、シアタークリエにて『夫が多すぎて』が開幕。それに先立ち29日、ゲネプロが行われた。『夫が多すぎて』はサマセット・モームが今から100年前に書いた戯曲。以降世界中で上演され、また映画化もされた作品。20世紀初頭のイギリス。夫を戦争で亡くしたヴィクトリア(大地真央)が、夫の親友フレデリック(石田純一)と再婚して暮らしているところに、死んだと思っていた最初の夫ウィリアム(中村梅雀)が帰ってくる……という物語。
舞台『夫が多すぎて』チケット情報
幕が開くと、そこは豪奢なベッドルーム。大理石の暖炉、猫足の家具、天蓋つきのベッドが備わった部屋。
大きな窓からはイギリスの象徴・ビッグベンが見える。そんな部屋でネイリストに爪の手入れをさせているのは、たっぷりのフリルに色とりどりのバラがあしらわれた部屋着をまとうヴィクトリア――。「戦争のため石炭を節約しなくてはならない」というわりに、人が集まれる居間ではなく、自分のベッドルームの暖炉に火がついている。彼女は全編を通じて、最初の夫も二番目の夫もどれだけ深く愛しているか、そして自分が夫にどれだけ尽くしてきたかをことあるごとに語る。しかしどうもそれは本人だけの認識のようで、ふたりの夫は奪い合うのではなく、やんわりと押し付け合う。