くらし情報『美輪明宏だから描ける『黒蜥蜴』の耽美的な世界』

美輪明宏だから描ける『黒蜥蜴』の耽美的な世界

衣裳も裾の長い本格的イブニングドレスを身につけなければ、本物を知る女賊の黒蜥蜴にはなれません。セットや照明も同じです。その世界を成立させるために綿密に作り上げていきますし、そのための知識や技術がなければ舞台は作れないんです。ですから、今一度、こういった正統派の舞台を見直してみるのも必要だと思います。そこでなければ得られない感動や癒し、安らぎというものがあるはずです」。

美輪が演じる黒蜥蜴は、明智小五郎と対峙し、やがて愛していくことになる。明智を演じるのは2度目となる木村彰吾。そして、黒蜥蜴の愛人・雨宮には、木村と同じく『花子とアン』で注目を集めた中島歩が再び挑む。
「『花子とアン』では、『ごきげんよう』という美しい言葉が話題となりました。この『黒蜥蜴』の美しい世界も、ぜひ若い方にご覧になっていただいて新鮮な感動を味わっていただければと思うんです。早替わりも多く、体力的にはとても厳しい作品なんですが、80歳の黒蜥蜴も面白いんじゃないかと思っています(笑)」。その笑みに、まだまだ作品を向上させようとする覚悟が見える。美輪にしか成し得ない『黒蜥蜴』を、心待ちにしたい。

舞台は4月4日(土)から19日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて。その後、愛知、大宮、神奈川、静岡でも公演。

取材・文:大内弓子

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