スリルもドラマも前作を上回る『シャーロック ホームズ2』
5人の売春婦が変死体で発見された、猟奇的な殺人事件の捜査を依頼されたホームズ。見えない犯人に向け、ある罠を仕掛けるホームズだったが、そんな彼をあざ笑うかのように新たな殺人事件が起こり……。物語は、「犯人は誰か」という一本の筋のみで引き付けるのではなく、その裏にある人間ドラマを次々と浮き彫りにしながら進んでいく。
橋本は、エキセントリックさと茶目っ気を併せ持つホームズという基本像は前作のままに、自信を失って悩むホームズという新境地も開拓。しっかり者のようでいてどこか抜けている一路ワトソンにもまた、知られざる一面を印象付ける見せ場が用意されている。そんなふたりが、緊迫感あふれる展開のなかで時折見せるコミカルな掛け合いに、稽古場が笑いに包まれる一幕も。そして新キャラには、別所哲也、秋元才加、小西遼生・良知真次(Wキャスト※この日は良知真次バージョンでの通し稽古)ら。橋本と別所、日本ミュージカル界が誇るふたりの役者ががっぷりと組んで奏でる重量級のハーモニーは、本番でも間違いなく大きな見どころとなるだろう。
約3時間に及んだ通し稽古のあとは、演出の板垣恭一によるダメ出しタイム。繊細な心理表現を求める板垣に対し、納得いくまで質問を繰り返し、貪欲に役を深めようとする秋元と良知の姿が印象に残る。