くらし情報『古田新太や多部未華子ら豪華布陣が火花を散らすミステリアスな家族劇』

古田新太や多部未華子ら豪華布陣が火花を散らすミステリアスな家族劇

とユキ(石橋けい)は他のことに気を取られている様子。そんなある日、夫婦の双子の赤ん坊がさらわれて…。

父と娘、姉と妹、夫と妻などの関係性を、これまでは禁忌の淵をのぞきこむような濃密さで描いてきた長塚。観客に衝撃を与えた『SISTERS』から7年が過ぎ「外側から家族というものを見つめてみたい」(パンフレットより)と語っている通り、今回その筆致は大きな変化を見せている。ハルキたちの名前や「おはぎ」「八幡神社」といった単語から、どうやら日本が舞台のようなのだが、海の見えるリビングやトムとローラのたたずまい、トムが作るクラムチャウダーなどの料理によって、観客はしばしばそこが“日本ではないどこか”のような感触をもつ。「出歩かないほうがいい」「外でとったものを食べるな」といった意味のセリフは東日本大震災後の被災地を彷彿とさせるものの、物語はそんな安易な目線をはぐらかかすように、あくまでも家族の秘密に寄り添って進行する。

古田は、和やかなリビングにバットを持って闖入する猥雑さを持ちながら、娘のイラには甘い笑顔を見せるという二面性のあるハルキを演じて面目躍如。対する吉田は、穏やかだが内面に深い闇を抱えるリュウゾウを繊細な持ち味で演じて、ドラマにリアリティをもたせている。

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